はつかり米プロジェクト
宮城県北部、登米市の南に位置する「蕪栗沼」と周辺の田んぼが、ラムサール条約登録地になりました。蕪栗沼とその周辺の田んぼのたくさんの渡り鳥達と私たち板倉農産は、共存をめざしたプロジェクトを実施しています 。
早生品種「こころまち」が黄金色に色づきはじめ、収穫時期を迎えるころ、遠くシベリアからマガンの群れが渡ってきます。
宮城県にマガンの初飛来にあわせて、稲刈りをおこなうのが「はつかり米」です。
「はつかり米」が始まったのは平成4年、私たちの農場でアイガモ農法を始めたことがきっかけで、水鳥の習性に詳しい自然保護団体「日本雁を保護する会」の方々から、渡り鳥とその飛来地にある水田の関係についてお話をお聞きしました。
毎年秋になるとやってくる、白鳥やマガン、カモなどの渡り鳥の多くは、ねぐらとなる池や湖などの湿地と、その周辺にある水田と関わりが深く、日本国内の飛来数の調査が行われています。昔は、大阪湾や東京周辺まで飛来していたマガンの群れでしたが、現在では東北の限られた地域にしか飛来しなくなりました。都市化に伴い湿地と、水田の減少によるものです。
そのような渡り鳥も、農家にとっては、大切に育ててきた稲を食害する害鳥のイメージが強く、農業と自然の共存を目的に「はつかり米プロジェクト」がスタートしました。マガンの飛来にあわせて稲を収穫して、直接的な食害被害を無くし、収穫の終わった水田をマガンの採餌地として利用する事で、農業者と渡り鳥の共生が可能になりました。