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【"海水育ち"新米 登米・生産法人が販売開始】河北新報(2006.10.26 朝刊)
宮城県登米市の農業生産法人が、海水を利用したコメ作りに取り組んでいる。農業用水にミネラルたっぷりの海水を混ぜ、食味アップを目指した。海水米は「三陸の煌(きら)めき」と命名され、海水の調達に協力した仙台市の海産物卸業者などを通じて販売を始めた。
作ったのは、同市南方町の「板倉農産」。専務の阿部善文さん(40)によると、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが多く含まれた海水が、コメのうまみを引き出すことは知られていたが、塩分の強さで稲を枯らしてしまうため、これまで試した農家は少なかった。
研究を重ね、「田んぼに農業用水を入れてから海水を混ぜ、塩分濃度を1%に薄めた」(阿部さん)ところ、順調に生育。今年はひとめぼれ30アールの田んぼから、約1.4トンの収穫を見込んでいる。
肥料にも海の恵みを生かした。病害虫への抵抗力を高めるカルシウムでできたカキの殻を木酢で溶かし、田んぼにまいたという。
海水は、インターネット通信販売で取引のあった海産物卸業「三陸オーシャン」(仙台市泉区)の協力を得て、石巻湾から運んだ。
「つやがあり、粒がしっかりしていて、食べてみると舌触りがいい」と試食した阿部さん。今年の県農業祭で出品86点中、総合3位に入賞。食味部門では2位に輝き、「おいしさ」の客観的な評価も受けた。