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なぜ万病にきくのか(1)

成人病は繊維不足が原因?

   玄米や米ぬかに含まれる成分の中でも、もっとも注目したいのが、繊維(ダイエタリー・ファイバー)です。ダイエタリーファイバーは消化吸収される事なく、そのまま排出されるものの総称ですが、以前は「消化が悪くて健康にあまり意味の無いもの」として軽視されていました。ところが、成人病と食生活の研究が進むにつれて、ダイエタリー・ファイバーのはたす役割が大きい事がわかってきました。ことに腸のなかで大変重要な働きをする事が明らかになりました。

  世界で初めてダイエタリー・ファイバーの働きを発見したのは、イギリス人外科医のパーキット博士です。博士は、イギリス人の食生活をアフリカの人々の食生活と照らし合せ、なぜアフリカの人々に成人病が少ないのか調査しました。その結果、食物から摂取している繊維が関係している事を突き止めたのです。

  ダイエタリー・ファイバーの研究の歴史は浅く、このパーキット博士は、その先駆者の一人ともいえるでしょう。
博士は、アフリカの先住民たちの方が、白人に比べて大腸ガンや心筋梗塞にかかりにくく、死亡率も低いということです。その原因を突き止めるために、さらに調査をすすめました。そして、先住民の排泄物の量が白人に比べて倍以上も多く、しかも食物を口にしてから排泄するまでの時間も短いことがわかりました。食べたものは体内にとどめず、すみやかに排泄する、このことが健康と密接な関係があるのではないかと考えたのです。

  そこでパーキット博士は、先住民たちが日常どんなものを食べているかを調べてみました。その結果、いも類や雑穀類に含まれる食物繊維のすばらしい働きを発見したのです。パーキット博士の他にもインドの学者が、1968年に、北インドの住民は南インドの住民に比べて大便の量も多く、大腸ガン発生率が少ない事を発見しました。その理由を、北インドの人々が雑穀や野菜を大量に摂取しているからだ、と説明しています。これらの研究がきっかけとなって、食物中の繊維の研究が本格的に行われるようになり、成人病の予防と治療に非常に有効だとわかってきました。

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