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なぜ万病にきくのか(5)

ダイエタリー・ファイバーが不足しがちな日本人の食生活

   ダイエタリー・ファイバーの研究がすすみ、成人病の予防と治療に効果があることが発見されてから、欧米ではにわかにダイエタリー・ファイバーが食品に取り入れられるようになりました。
 
  小麦粉をまるごとひいて作った全粒粉パンや、リンゴなどの繊維を入れたファイバー食品、小麦フスマなどがブームになっています。小麦フスマというのは、小麦を精製するときに取り除かれた部分のことです。いわば、玄米の場合の米ぬかにあたる部分です。

  米を主食としている日本人に比べ、ダイエタリー・ファイバーが不足しがちな欧米人は、小麦 フスマに着目しました。これならばコーンフレークやハンバーグに混ぜたり、オートミールにして、手軽に食べる事ができるからです。先にあげたバーキット博士の調査では、欧米人の1日の平均排泄物は100~120グラムでした。これは、日本人の150グラムよりも少ない数字です。欧米人に比べると、日本人のほうが小食といわれていますが、食べる量と排泄している量を考えてみると、欧米人の方が、ダイエタリー・ファイバー不足になりやすい傾向があるのです。

  幸いな事に、日本人は米を主食とするうえに、ワカメやひじき、ゴボウ、大豆など、ダイエタリー・ファイバーが豊富な食品を多く摂取しています。そのため、排出量をくらべると、わずかながら欧米人を上回ることができたのです。ところが、戦後、食生活が豊かになるにしたがって、日本人にもダイエタリー・ファイバーの摂取量の減少傾向が、目立つようになりました。生活の洋風化や、食生活が多様化したのがその要因です。また、ダイエタリー・ファイバーの摂取量とは反対に、動物性脂質の摂取量とは増えています。その結果、日本でも成人病が深刻な問題となってきました。日本人は欧米文化のいいところばかりではなく、弊害まで受け継いでしまったのです。そのため日本人でも、最近はダイエタリー・ファイバーが注目され始めました。もともと日本人は米を中心とした食生活を送って来ました。米ぬかに含まれるダイエタリー・ファイバーが見直されています。

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